公開日:2026年3月
毎年3月になると全国の学校で行われる「卒業式」。
感動して泣いた人も多いはず。でも、ふと考えてみると…「卒業式っていつから始まったの?」「なんで泣くのが当たり前になったの?」と疑問に思いませんか?
実は卒業式の歴史を掘り下げると、明治時代の近代国家づくりや、感情教育の歴史が見えてきます。今回は「卒業式が生まれた経緯とその理由」を丁寧に解説します!
卒業式はいつ生まれた?
起源は明治時代・1872年
日本では1872年(明治5年)の学制の施行にともない、各学級(学年)ごとに試験修了者に対して卒業証書を授与したことに起源を持ちます。
ただし、当時の「卒業」は今とはまったく違うシステムでした。現代のように「1年生・2年生・3年生」という学年制ではなく、試験に合格するたびに1つ上の「級」に進む仕組みで、進級=卒業という感覚だったのです。
最初の「卒業式」の記録は1876年
日本初の卒業式の記録は1876(明治9)年。陸軍戸山学校で始まり、他の高等教育機関にも普及していきました。当初は教育の成果発表という側面が強く、体操や弁論などが行われていたようです。
さらに東京大学でも1877年に第一回卒業式が挙行されました。
つまり、卒業式は軍学校から始まり、大学へ、そして小学校へと広まっていったのです。
3月卒業・4月入学はいつ定着した?
1886年(明治19年)に国の「会計年度」(4月から3月)の仕組みがスタートし、国からの指導によってだんだんと「学校年度」も「会計年度」に合わせて4月から新学期ということになっていきました。1890年ごろに、3月に卒業・4月に入学という「教育制度」が定着していったようです。
つまり「3月卒業」は、国の財政の仕組みに合わせた結果だったのです。意外な理由ですよね!
なぜ卒業式は「感動して泣く」ものになった?
明治時代は「感情教育」の場だった
明治20年代になると、小学校でも卒業式が導入され始めます。1890(明治23)年に「教育勅語」が発布されて以降、数々の学校儀式が新設され、儀式を通した感情教育の重要性が意識されるようになります。卒業式においても「ふさわしい感情や振る舞いを教えよう」という風潮が次第に高まっていきました。
簡単に言うと、卒業式は最初から**「感動する場所」として意図的に設計された**のです。
小学校卒業が「人生の分岐点」だった
明治の終わりから1947(昭和22)年まで義務教育は6年間しかなく、小学校卒業が人生の分岐点でした。必然的に卒業式は「別れ」を強く意識する場となり、より感動的な式を目指す方向へとシフトしていったのです。
今でこそ中学・高校・大学と進学するのが当たり前ですが、かつて小学校を卒業したらすぐに働き始める子がほとんどでした。だからこそ卒業式は「人生最後の式典」という重みを持っていたのです。
「涙の卒業式」の原型は明治の終わり頃
「涙の卒業式」の原型ができてくるのは明治の終わり頃です。特に小学校の卒業式で式次第が定型化し、学校生活の集大成として卒業式が位置づけられるようになっていくのが明治30年代。儀式として形を整えていく過程で、形だけではなく感情も伴うものにしなくては、という意識が強まっていきます。
卒業式の「歌」はどう変わってきた?
最初は《蛍の光》が主流
1893(明治26)年に儀式唱歌が定められ、共に歌うことで生じる一体感は特に卒業式に最適だったのでしょう。初期にはさまざまな曲が歌われましたが、徐々に《蛍の光》が主流になっていきました。
ちなみに《蛍の光》の原曲はスコットランド民謡。歌詞は中国の故事「蛍雪の功」にちなんでいる、国際色豊かな曲です。
《贈る言葉》でガラッと変わった
最もブレイクしたのは《旅立ちの日に》。中学校の先生が作った曲で、1990年代に全国に普及していきました。いわゆる卒業式の歌ランキングが毎年発表されるようになるのは、2004年からで、《旅立ちの日に》が定番曲になった頃から新しい卒業ソングがさらに増えていきました。
「涙や感動と卒業式との結びつきは、フィクション(ドラマ・映画)によって強められた面も大きい」というのは、研究者たちが指摘する興味深い視点です。
実は日本独自の文化だった!
欧米でも大学の学位授与の式典はありますが、各学校の修了ごとに祝う式典は日本と韓国でのみ見られる習慣です。
海外では義務教育段階の卒業に際して特別なセレモニーがない国も多く、あったとしても「新たなスタート」を祝う明るい雰囲気が主流です。「みんなで涙を流す卒業式」は、世界に誇れる日本独自の文化なのです。
卒業式の袴はなぜ着る?
袴は平安時代の宮廷に仕えていた女性が十二単の一部として身につけていた衣服でした。明治期になり女学生の制服として考案された女袴は、宮中の女官服に由来しており、学問の場にふさわしく、しっかりとした身なりとして受け入れられ、従来の着物に帯というスタイルに比べて、動きやすいという機能面と、優美さと礼容を兼ね備えているという点も、袴が制服として採用されたポイントとなっています。
卒業式の歴史まとめ
| 年代 | できごと |
|---|---|
| 1872年(明治5年) | 学制施行・卒業証書の授与が始まる |
| 1876年(明治9年) | 陸軍戸山学校で日本最初の卒業式 |
| 1877年(明治10年) | 東京大学で第一回卒業式 |
| 1886年(明治19年) | 会計年度が4月スタートに |
| 1890年(明治23年) | 教育勅語発布・感情教育が強化される |
| 1890年ごろ | 3月卒業・4月入学が定着 |
| 1893年(明治26年) | 儀式唱歌が定められ《蛍の光》が主流に |
| 明治30年代 | 「涙の卒業式」の原型が完成 |
| 1990年代 | 《旅立ちの日に》が全国に普及 |
| 2004年〜 | 卒業ソングランキングが始まる |
まとめ
卒業式は、明治時代の近代国家づくりの中で生まれた「感情教育の場」でした。義務教育が6年しかなかった時代、小学校の卒業は本当に「人生の別れ」だったのです。
その後、音楽・ドラマ・演出が加わることで、「みんなで泣く」という日本独自の文化として進化してきました。
毎年3月に訪れる卒業式。そこには150年以上の歴史と、人々の想いが積み重なっています。今年の卒業式は、そんな歴史を思いながら参加してみてはいかがでしょうか。
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