お盆ってなんで帰省するの?

雑学

「お盆って、なんで帰省するの?」「なぜ8月なのに7月にお盆をやる地域があるの?」

毎年当たり前のようにやってくるお盆ですが、その本当の意味や起源を知っている人は意外と少ないものです。

お盆は単なる「夏休みの帰省シーズン」ではありません。インドから伝わった仏教の行事と、古来日本の先祖崇拝が融合した、1400年以上の歴史を持つ行事なのです。

この記事でわかること

  • お盆の語源「盂蘭盆(うらぼん)」の意味
  • 目連尊者の母を救う物語
  • 日本にお盆が伝わった時期
  • 7月盆と8月盆が混在する理由
  • 地域によって違うお盆の風習

「お盆」の語源はサンスクリット語にあった

「お盆」という言葉の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。

この「盂蘭盆」は、インドの古語サンスクリット語の「ウランバナ(ullambana)」を漢字で音写したものです。ウランバナとは「逆さまに吊り下げられた苦しみ」を意味し、死後に地獄や餓鬼道に落ちた者が受ける苦しみを表しています。

つまり、お盆はもともと「亡くなった人が苦しんでいるなら救いたい」という気持ちから生まれた行事なのです。

お盆の起源:目連尊者と母の物語

お盆の起源には、仏教の有名な物語があります。

お釈迦様の十大弟子の一人、目連尊者(もくれんそんじゃ)は、神通力を持つ高僧でした。ある日、目連尊者は亡くなった母親の様子を神通力で見ると、母が餓鬼道(がきどう)に落ち、食べ物も与えられず苦しんでいることがわかりました。

驚いた目連尊者はお釈迦様に相談します。するとお釈迦様は、

「夏の修行が終わる7月15日に、多くの僧たちを招いて供物を捧げ、供養せよ。そうすれば母は救われる」

と諭しました。目連尊者がその通りに行うと、母親はついに成仏し、苦しみから解放されました。

この物語が盂蘭盆会の原型です。7月15日に僧に食べ物を供えて先祖を供養するという習慣が、インドから中国を経て日本へと伝わりました。

日本へは飛鳥時代に伝わった

日本にお盆の行事が伝わったのは、今から約1400年前の飛鳥時代のこと。

推古天皇14年(606年)に初めてお盆の行事が行われたと記録されています。その後、686年に天武天皇が全国の寺院に盂蘭盆会を行うよう命じたことで、日本全体に広まっていきました。

ただし、仏教のお盆が日本で広まった背景には、それ以前から存在していた日本古来の先祖崇拝の文化があります。古来の日本人は「夏と冬の年2回、先祖の霊がこの世に戻ってくる」と信じており、その霊を迎えて供養する習慣がありました。インドから伝わった仏教行事と日本の先祖崇拝が融合することで、現在のお盆の形が生まれたのです。

時代 できごと
インド(仏教発祥時) 「ウランバナ」の行事が始まる
606年(飛鳥時代) 推古天皇の時代に日本初のお盆行事
686年(飛鳥時代) 天武天皇が全国の寺院にお盆を命令
平安時代〜 盆踊り・迎え火・送り火の習慣が整う
明治以降 新暦導入で7月盆と8月盆に分かれる

なぜ「7月盆」と「8月盆」があるのか

「うちは7月にお盆をやるけど、友達の家は8月」という経験はありませんか?これは、明治時代の暦の改定に起因しています。

もともとお盆は旧暦の7月15日を中心に行われていました。明治政府が新暦(グレゴリオ暦)を導入した際、旧暦の7月15日は新暦では8月中旬にあたります。

そこで地域によって対応が分かれました。

  • 7月盆(新暦7月15日):東京・横浜など一部の都市部。新暦の7月15日に合わせた
  • 8月盆(新暦8月13〜16日):全国の大部分。旧暦の日付に相当する時期に合わせた
  • 旧盆:沖縄・奄美など。現在も旧暦のままお盆を行う地域

農作業のスケジュールや地域の伝統も絡まり、現在のような複数時期が共存する形になったのです。

地域によって全然違うお盆の風習

お盆には全国共通の風習もありますが、地域によって驚くほど異なる習慣も多く残っています。

  • 迎え火・送り火:玄関先で火を焚いてご先祖様を迎え・送る。全国的な習慣
  • 精霊馬(しょうりょううま):キュウリで馬、ナスで牛を作る。「早く来てほしいから馬、ゆっくり帰ってほしいから牛」という意味
  • 盆踊り:先祖の霊を慰めるための踊り。地域ごとに独自の踊りが残る
  • 灯籠流し:川や海に灯籠を流してご先祖様をお送りする
  • 沖縄のエイサー:三線と太鼓に合わせた独自の踊りでご先祖様を送る

まとめ:お盆は「死者への愛情」から生まれた行事だった

お盆の起源をたどると、その根底にあるのは「大切な人が苦しんでいるなら救いたい」「亡くなった人をちゃんと供養したい」という純粋な気持ちです。

インドの目連尊者の物語から始まり、日本の先祖崇拝と融合し、1400年かけて現代の形になったお盆。帰省ラッシュや花火大会のイメージが強い現代でも、その根っこにある「先祖への感謝と供養」という意味は変わっていません。

次のお盆には、迎え火を焚きながらその歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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